すべての基本は「可逆」か「非可逆」か
画像形式は、圧縮の考え方で大きく2つに分かれます。
非可逆圧縮 —— 捨てて小さくする
人の目が気づきにくい情報を思い切って捨てることで、劇的にサイズを減らす方式です。JPEG、WebP(非可逆モード)、HEICがこれにあたります。
たとえば人の目は、色の細かい変化より明るさの変化に敏感です。そこで色の情報だけを間引いても、見た目にはほとんど分かりません。空のグラデーションのように、隣り合う画素が似ている場所もまとめて記録できます。写真はこうした「なだらかな変化」の塊なので、非可逆圧縮と相性が抜群です。
代償は、捨てた情報は二度と戻らないことです。
可逆圧縮 —— 一切捨てない
情報を全く失わずに、記録の仕方を工夫してサイズを減らす方式です。PNG、GIF、WebP(可逆モード)がこれにあたります。
「同じ色が横に50個続く」を「この色×50」と書き換えるようなイメージで、元のデータを完全に復元できます。ベタ塗りの図、スクリーンショット、ロゴのように同じ色の面が広い画像では非常によく効きます。逆に、写真のように全画素が微妙に違う画像ではほとんど縮まりません。
形式ごとの特徴
JPEG(.jpg / .jpeg)—— 写真の標準
1992年に登場し、いまも写真の事実上の標準です。どんな機器でも開けるという圧倒的な強みがあります。非可逆圧縮なので写真では非常に小さくなりますが、次の2つが苦手です。
- 文字や線画 —— 輪郭のまわりにモヤモヤした乱れ(モスキートノイズ)が出て、文字がにじみます
- 透過 —— 背景を透明にできません。透明部分は白などで塗りつぶされます
PNG(.png)—— 図・スクショ・透過
可逆圧縮で、透過にも対応します。スクリーンショット、図解、ロゴ、イラストに最適です。文字がにじまず、何度保存し直しても劣化しません。
弱点は写真に使うとファイルが巨大になることです。同じ写真がJPEGなら500KBのところ、PNGでは5MBを超えることも珍しくありません。「画質がいいからPNGで保存しよう」は、写真においては単なる容量の無駄になりがちです。
WebP(.webp)—— 新しくて小回りが利く
Googleが開発した形式で、可逆・非可逆の両方に対応し、透過もアニメーションも扱えます。同じ画質ならJPEGより2〜3割小さくなります。
主要なブラウザはすべて対応しているため、Webサイトに載せる用途では有力な選択肢です。一方、ファイルとして人に渡す用途では、環境によっては開けないことがあるため注意が必要です。
HEIC(.heic)—— iPhoneの標準
iPhoneが「高効率」設定で写真を保存するときの形式です。動画のH.265と同じ技術を静止画に応用しており、JPEGの約半分のサイズで同等の画質を実現します。
弱点は互換性です。Windowsのパソコン、多くのWebサービス、フリマアプリの出品画面などで「開けない」「アップロードできない」という壁にぶつかります。人に渡す前提ならJPEGへの変換が必要です。当サイトのHEIC→JPEG変換ツールなら、ブラウザ内だけで20枚まで一括変換できます。
GIF(.gif)—— 短いアニメ専用
使える色が256色までに制限されるため、写真に使うと色がまだらになります。いまGIFを選ぶ理由は「短いアニメーションを、動画プレイヤーなしで再生させたい」場合にほぼ限られます。動画から作りたい場合はGIF作成ツールが使えます。
一覧で比較
| 形式 | 圧縮 | 透過 | 写真 | 文字・図 | 互換性 |
|---|---|---|---|---|---|
| JPEG | 非可逆 | × | ◎ | × | ◎ |
| PNG | 可逆 | ○ | △(巨大) | ◎ | ◎ |
| WebP | 両方 | ○ | ◎ | ○ | ○ |
| HEIC | 非可逆 | ○ | ◎ | △ | △ |
| GIF | 可逆 | ○ | × | △ | ◎ |
用途別:どれを選ぶか
| やりたいこと | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 写真をメールで送る・印刷所に入稿する | JPEG | どこでも確実に開ける |
| スクリーンショットを共有する | PNG | 文字がにじまない |
| ロゴ・アイコン(背景を透明に) | PNG | 透過に対応し、輪郭が保たれる |
| 自分のWebサイトに写真を載せる | WebP | JPEGより2〜3割軽く、表示が速い |
| フリマ・ネットショップに出品する | JPEG | HEICは受け付けないサービスが多い |
| iPhoneの容量を節約したい | HEIC | JPEGの約半分で済む |
| 短いアニメーションを載せたい | GIF | 再生アプリなしで動く |
よくある失敗と、その理由
写真をPNGで保存してしまう
「PNGのほうが高画質」というイメージから起きる失敗です。たしかに劣化はしませんが、写真ではサイズが10倍になっても見た目はほとんど変わりません。メールに添付できない、アップロードが通らない、といった実害だけが残ります。写真はJPEGで十分です。
スクリーンショットをJPEGで保存してしまう
こちらは逆の失敗です。JPEGは輪郭がはっきりした部分が苦手なので、文字のまわりがモヤモヤとにじみます。資料として読ませたい画像では致命的です。スクリーンショットはPNGで保存してください。
編集と保存を何度も繰り返す
JPEGは開いて保存し直すたびに再圧縮されるため、劣化が蓄積します。トリミング→保存→文字入れ→保存→明るさ調整→保存、と繰り返すと、最初とは目に見えて違う画質になります。編集中はPNGで作業し、完成してからJPEGに書き出すのが安全です。
形式を変えれば容量が減ると思ってしまう
すでにJPEGになっている写真をWebPやHEICに変換しても、劇的には減りません。捨てられる情報はすでに捨てられているためです。容量を減らしたいなら、形式ではなく解像度と品質を見直すほうがずっと効きます。3000×4000ピクセルの写真をSNSに載せるなら、1600ピクセル程度まで縮めるだけで十分です。
当サイトの画像圧縮ツールは、「1MB以下」のように目標容量を指定すると、その中で最も高い画質になる設定を自動で探します。処理はすべてブラウザ内で行われ、画像がサーバーへ送信されることはありません。
よくある質問
- Q. JPEGを開いて保存し直すと画質は落ちますか?
- A. 落ちます。JPEGは保存のたびに圧縮し直すため、編集と保存を繰り返すと少しずつ劣化が蓄積します。何度も編集する予定があるなら、作業中はPNGで保存し、最後にJPEGへ書き出すのが安全です。
- Q. WebPは使っても大丈夫ですか?
- A. Webサイトに載せる用途なら問題ありません。主要なブラウザはすべて対応しています。ただし人にファイルとして渡す場合は、環境によって開けないことがあるためJPEGが無難です。
- Q. 一度JPEGにした画像をPNGに戻せば画質は戻りますか?
- A. 戻りません。JPEGにした時点で捨てられた情報は復元できないため、PNGに変換してもファイルサイズが増えるだけです。
- Q. 画質を落とさずにファイルサイズを小さくできますか?
- A. 見た目の画質をほぼ保ったまま小さくすることは可能です。多くの写真は必要以上に高い解像度・高い品質で保存されているため、適正値まで下げるだけで数分の一になります。